南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by saporterK

読めない「波」

お店を始めた26年前。
バブルは崩壊したけど、まだ景気が良かった頃。
私はまだ女学生(!)で、お店には出ませんでしたので、
どのくらい忙しかったか、よく知りません。

ただ両親との生活時間が全く変わったことで、
父たるマスターとは1週間、顔を合わせないこともあり、
その辺りで「どうやら忙しいようだ」くらいの認識でした。

当時は週末となると、平日以上に両親の帰りが遅く、
丑三つ時でないと帰宅しないことが多かったと思います。
やはり週末には人が多く繰り出す時代でした。

なので「この曜日は忙しい。この曜日は穏やか」という人の流れが
概ね決まっていたと思います。

しかしこの10年ほど、不景気の何番目の「底」かわからなくなる
不景気っぷり以降、「人の流れ」が「波」として平均しなくなりました。
何曜日が忙しいといった波が読めなくなってきました。
お店はどちらかというと平日のほうが、常連さんがいらっしゃるので
賑やかであることが増えました。
土日はむしろかなり静かで、穴場です。

コーヒースタンドが増えたり、ファミレスが増えたり、コンビニが増えたり。
喫茶店に敢えて来なくても、とりあえずコーヒーを飲める場所は増えました。

「喫茶店じゃなくてもかまわない」価値観の人もいるし。
「パッと買えて車の中で飲めるほうがいい」状況だってある。
「喫茶店の敷居が高い」イメージを持っている世代も多いし。
「長居しちゃダメそう」と思い込んでいる人もいる。

私はずっと「ジョージ」を見ていて、自分がその中にいて、
全く「敷居は低い」し「長居歓迎」なんですが、どう伝えたらいいのでしょう。

私は、腰を傷めているのですぐ座っちゃいますし、すぐ本を読みだすし、
単語書き取り練習とかしているし、手紙を書いていることもあるし。
自分が「長居タイプ」なので、お客さんが長くても一向気にしません。

狭い店内で「話を聞かれていそう」とも言われますが、有り体に、
マスターも私も26年分、年を重ねている内に、記憶力はすっかり発揮されず、
また注意力を「自分」に向けていないと、器をぶつけたりお湯をこぼしたり
刃物を落としたりするようになってきたので、「今まさに会話をしている相手」
以外の話に聞き耳を立てるだけの「余力」が全く無くなりました。

お店の家具は、たしかにオリジナルで家具作家に作ってもらった物ですし、
韮崎の「日月窯」三井康生にオリジナルで作ってもらった器ですし、
壁面にはプロの絵画を飾っているし。

でもそれは「敷居が高い」のではなくて「こういう家具を使いたいな」とか
「この器の使い勝手が良いな」とか、購入前の「テスター」だと
思っていただいて良いのです。

実際、お店で器を見て、触れて、気に入ったから欲しいと仰るお客さんには、
清里の萌木の村にある、三井康生のもう1つの「萌木窯」を紹介していますし、
買われている方も多くいらっしゃいます。

お店と全く同じ器はありませんが、代わりにもっとたくさんの器が見られますし、
器以外にも併せて使い勝手のよい小物が置いてありますから、
「比べて迷いながら選べる楽しさ」も充分に味わえます。

プラや紙のカップで飲むコーヒーもひとつです。
でも敢えて喫茶店なのだから、業務用の殺風景な白いカップではなくて、
手仕事の味わいに触れ、焼き物の扱いを知り、使い心地を楽しむのもひとつ。

家具も同じです。絵も、壁面に何か好きなものを飾る、ということが
意外と心を慰めてくれるものだと気付くきっかけになります。

日常に使いきれないというなら、それが「非日常の時間を過ごす」ことであって、
喫茶店に来て味わう時間ということであって、いいわけです。
家では割ったり欠けたりしそうでコワくて使えないけど、
ジョージに行けば(上げ下ろしなしで)器を使ってコーヒーが飲める。

「こうだったらいいなぁ」の1例として、ジョージがあるといい。
上手に喫茶店という装置を使ってください。

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今月から、お店でも現在の作品を少しずつ展示販売しています。
場所の都合で、たくさん置くことはできませんので、少し。

現在は桃と葡萄の釉薬のカップ&ソーサーを1客ずつと、小皿があります。
ご覧になってみて、お好みで「こういうのが欲しい」というご相談も承ります。
カウンターの真ん中辺りに置いてあるので、お声がけください。

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by saporterK | 2016-09-08 23:40