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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

月、ワイン、クリス・ボッティの夜。

お店の営業時間が終わり、掃除をして看板をしまうとき、頭上には微妙に満ち足りない月がぽかりとぶら下がっていた。晴れやかで高い夜空。風がそよと吹き、母上が植えたススキが頭を垂れ、流れる薄雲が月にかかって月輪ができる。素敵な夜。

とぼとぼ歩く夜道、外灯が届かない暗い足元に自分の影が見える。それくらい今夜の月は明るい。近所に家がなければ鼻歌のひとつでもホガホガ歌っていたかもしれない。お酒を飲んでもいない先に酔ったような気分。

飲みかけの白ワインを飲みながら、届いたばかりのクリス・ボッティ「Italia」を聴く。イタリアが好き。ボッティが好き。アンドレア・ボチェッリが好き。ならばこの新譜を買わない手はない。でもインポートのCDは何でも大抵そうだけど、歌詞がないのねー。ボチェッリは明瞭な発音なのでわりと聞き取りやすいけど、イタリア語なので多分全部は聞き取れないで終わりそう。でも素敵な曲。澄んだ声、澄んだペットの高音。ボッティのペットを聴いていると、「黄金のトランペット」とその声を評されたマリオ・デルモナコを思う。昔、MTVアウォードか何かで、ナタリー・コールが、父ナット・キング・コールの歌う白黒映像に会わせて「Unforgetable」をデュエットしたのを見たことがあった。あんな感じで、オペラのアリアをコラボできないかなー、などと夢想する。

アンドレア・ボチェッリの「Amore」で「Estate」を歌っているのだから、ボッティのほうでも歌って欲しかったなぁとも思う。ピアノは私の好みと少し違った。全体の印象は好き。でも、イタリアの国のイメージとは違う。ボッティのルーツはイタリアだけど、彼はやはり完全にアメリカ人だと感じた。
荒川静香以来でもないのだろうが、今は世界的にプッチーニ「トゥーランドット」の「Nessum dorma」ブームなのか、猫も杓子もの勢いで耳にする。食傷気味なほど聴いている。1日のうちで耳にしないことがないほど。プッチーニは「ジャンニ・スキッキ」以外それほど好きではない。それでいてその曲はめったに上演されないのでCDにもならない。スムースジャズの人なので、ボッティに「フィレンツェは花咲く木のように」をアレンジしてくれ、というのも無理な話か。
by saporterK | 2007-09-25 23:50