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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

湯飲み茶碗を。

出稼ぎ先で、初めて備品を破壊した。いや、不慮の事故で破損した。いや、手が滑って落として割った。湯飲み茶碗1個。つるりぱりーん。狂言のオノマトペでなら「がらり、ちーん」だ。なんてことが一瞬のうちに思い起こされ、慌てて破片を集めて床を拭き清める。ショックで心臓がドキドキして汗が吹き出た。Nさんに「1個割ってしまいました」と報告したら「あぁもうそれ違うのに買い直すつもりだから、全然気にしないで」ということで落着。物を落とす時は、なぜかスローモーションでその過程が見える。落ちると思ってから落ちるまでがすごく長く感じ、砕けた直後から通常の時間の流れになる。とほほ。。。

来週の放送では、お店のお客さんでもある方が街の案内役となられているのを予告VTRで知った。というのも、そのお客さんは私が出稼ぎに行っていることをご存じないから。今度来店の際には放送の話などしてみよう。私の場合は放送直前に、知り合いないし親戚ないしお客さんが取り上げられていることを知る。スタッフに言わないこともあるけど「あ、誰それさんだ」と思いながら見ていることしばしば。で、後になって私が「出てましたねー。スタジオにいらっしゃるかと待っていたんですけどねぇ」と、残念がるのだ。

稀に「意外なところで、どうもどうも」となるが、お店から切り離された私は、私として認識されないことがある。出稼ぎ先だけでなく他所で会っても私から話しかけないと気付かれないことさえある。そんな時は存在や実存について考えてくらくらしたりする。割れた湯飲み茶碗くらいの堪え難い存在の軽さと危うさを考えずにはいられない。
by saporterK | 2007-10-19 00:09