人気ブログランキング | 話題のタグを見る

南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

Ch.Croix Mouton 2004

寒い1日を、そわそわして過ごす。先日、抜栓直後は「なんじゃこりゃ」な匂いを出していたのに、時間が経ったら旨くなっていたvina Maipoがまだ残っている。「時間をおいたほうが旨いワインは、これまで飲んだ中でも多くあるのではないか」と思い始めていて、抜栓直後に飲んで「うえっ」となった物に手を合わせて「もしかしたら最良の状態で飲んであげられなくてスンマセン」と謝っている。ついでに、マスターと「デキャンタージュを練習しよう」ということになっている。でも、お店に置いてあるのは、若手のガラス工芸作家の作ったデキャンタで、到底隅々まで洗える物ではない。「喫茶店でデキャンタージュするなら、案外水差しみたいな物でも良いのではないか」と結構乱暴な推測の元、ガラス製でギリシャに住んでいた頃の叔母から「嫁入り道具に」貰った(はずの)水差しを出してみた。

栄えあるデキャンタージュ第1号の生け贄は、あろうことかシャトー・クロワ・ムートン2004。「クロワ・ムートン」としてから最初のヴィンテージのワインで、ネットでもすでに完売の店も出ているボルドー・スーペリュールAC。ムートンロートシルトよりシャトーそのものの歴史は古いと言われている。メルロー70%カベルネフラン25%プティヴェルド5%。
とりあえず抜栓後すぐグラスに注ぐ。コルクを嗅ぐと「チョコレート味のキャンディみたい?バニラっぽい?でも葉巻っぽい?」と、どこかで馴染んだ記憶があった。すごく思い起こして、数年前に急逝されたお客さんが吸っていたパイプの香りではないかと感じる。途中でフレーバーを変えたが、お店に来てすぐの頃に吸っていた物に似ている。パイプにタバコの葉を詰めながら「山梨に来た時はこの葉がなくて、近所のタバコ屋に取り寄せてもらっている」というのを聞いたことがあった。私が「暫くお店の中に甘ったるい臭いが染み付いて難儀する」とまで思った香り。煙が家具に染み付いて、毎回ゴシゴシそのヤニを拭き取っていたくらい。甘いけどスモーキーで、なめし革のような。今まで飲んでいた千円代のワインに比べて、値段も少し上だけど「一番色々な香りがして一番色々な味がする」感じ。
私が覚束ない様子でデキャンタージュしてみる。チョコレートのような甘い感じが少し抜けて、もっと丸く飲みやすくなった気がする。樽の香りもして、フルボディだけど重い感じはしない。でも飲むには少し早すぎるのかも。まだ寝かせていても良いだろうし。デキャンタージュして、更にゆらゆら揺らして、グラスに注いで。その度に香りに変化があって楽しい。三ツ星レストランで採用されたのも頷けるし、喫茶店で出すには気軽ではない気もするけど、旨いなら出しますって。自分用に、寝かせてみて楽しめるかどうか、ストックしてみても良いだろうし。
by saporterK | 2008-02-03 01:01