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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

香り

お寺さんの会合帰りのお客さんから「沈香」を戴いた。お焼香で使う物よりは粗く、香道で使う物より細かい。戴いても自宅で焚くわけにもいかないので、お仏壇の中に、封を開けて置いておこう。

沈香にも種類があるが、どこのお寺さんでも大体共通した香りなので、今日も戴いてから「あぁ、これぞお寺さんの香り」と1人鼻をふがふがさせていた。お能で天女が現れる時「異香薫じて花降れり」というくだりが出てくる。天上界の香りが沈香というには少々並みすぎるような気もするが、子供の頃からわりと「お寺の香り」は好きだった。天女はいまだに舞い降りてはこないが、何か普段の現実の生活とは一線引いた香りのイメージがあったのかもしれない。

で、なぜか仏式の結婚式の話になった。その場限りの俄クリスチャンにはなりたくないし、人の前で誓うというのも何だか心もとないような気もしていたけれど、仏式、何やら新鮮な響き。聞いたことはあったが見たことはないし、未知の世界だから新鮮に思えるのだろう。指輪交換も昨今ではするそうだが、基本的にお数珠交換。厳粛さを実感する点では仏式が一番ありそうだ。着付けや花嫁姿での近所へのごあいさつ、披露宴会場への移動など手間と面倒がかかるのを除けば仏式結婚式って良いかも。信仰心のなさについては俄クリスチャンになって「誓います」と言う人々と何ら変わりはないが、考え方の有り様については勉強して自分に合っているのがどちらかくらいはわかっているので、そういうイベントの時も考慮に入れるのも大切かもしれない。

着物姿で、茶道は別にして、大抵の女性は香袋を袂に入れていただろうけど、最近そういう人に殆ど出会わない上に、和モノの香りが似合いそうな特に若者って少ない気がする。和服に香って「艶っぽい」「色っぽい」「大人」なイメージがあった。香水同様、香りと体臭が合わさって「この香り=この人」という個性が出ることを思うと、私はどんな香りが似合うだろう。ただいまお店に出ない日はJaguar。風呂敷やレターセットには、薫玉堂で買った「せせらぎの香り」というお香を引き出しに入れてある。どちらも爽やかな青のイメージ。甘い香りは私キャラではないから。似合っているかはわからないけど。

飲食店ゆえに止めた習慣。爪を伸ばしてマニキュアを塗ること、香水をつけること。この2つは学生時代に5センチヒール同様マストアイテムだった。止めた代わりに、出掛ける時に特に香水をつけると気持ちが切り替わってよろしい。以前は同じ香りを纏っていることが重要だったけど、今はちょっとした特別感を味わうようでそれも面白い。その点、お寺さんは抹香臭いと言われようとも常に同じ香りでなくては。
by saporterK | 2006-02-18 00:52