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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

バナナケーキ

義姉上がバナナケーキを焼いてくれた。誕生日には早いけど、ということで。ありがたく頂戴。代わりに私は甥っ子の誕生日には食べ物を贈ろう。色々食べられるようになってきたから、以前の要望通りパンを作ろうかな。

ここのところ、すっかり仕事以外で厨房に立つことがなくなった。
お菓子や料理への思いが薄れたわけじゃないけれど、以前のような「逃避のための行為」として厨房に立つのから移行しようとしているのかもしれない。お菓子も食事の用意も、他に雑念を挟む余地が殆どないから、感情を抑圧したり考え事から逃げる為には都合も良かったし生産的でもあった。仕事の場合は手順や流れを考えているのでそもそも余計なことは出来ない。ふとオーダーを出し終えて身軽になる時間帯になると、怒濤のように雑念やら何やらが私の中から溢れそうになる。そんな時は大抵計量カップやボウル、粉にバター、次々とそして整然と出してきて、徐にレシピ本を開いて作り始める。オーブンや鍋の中で良い香りが立ち始めると、溢れそうな色々が一応収まる。一時的にでも全てから隔絶され、自分のテリトリーを思うさまコントロールする気分。

私が前から「愛情に欠けている」と言っているのは、つまり作る際の姿勢がそういう背景からきているからだ。感情や出来事から逃げた結果が、今あるノートのメモやレシピ本の数や家族が食べた品々である。義姉上のバナナケーキを眺めながら、私もいつか、溜まっていくノートや買い続けるレシピ本から本当のレパートリーになる物を選び出し、プラス愛情という形で、作れるようになる日がくるんだろうかと思っていたら、彼岸入りの為に母上が作ったおはぎを食べ過ぎて、とうとうバナナケーキは明日以降に持ち越しとなってしまった。
by saporterK | 2006-03-19 02:05