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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

救われない気分。

金曜日は朝4時頃に目覚め、その後殆ど眠れぬまま出稼ぎへ。当然夕方になるまでに頭は朦朧としてきて、お店に戻ってからも「眠い」を連発。でも夜12時半頃にWOWOWで「バタフライエフェクト」のディレクターズカット版が放映していて、何気なく観ていたら2時半までかかった。ディレクターズ版ではないバージョンは「最も切ないハッピーエンド」として話題になったというが、こちらは観ていない。ディレクターズカット版の結末は、切ないというより、救われない気分でいっぱいだった。

過去の日記を朗読すると、その日に戻ってやり直すことができるエヴァンの選択に「どうしてそうかなぁ」と突っ込みを入れたくなるが、それでも彼は自分の大切な人達の不幸を取り消してやり直そうと奮闘する。でも結末があれじゃ、エヴァン自身が救われなさすぎ。結局、人生は経過してこそ振り返ることができて、起きたことをやり直すなんてことはできないのだ。

皮肉なのは、やり直そうと過去に戻ったエヴァン自身は、戻る当時の彼のアイデンティティのままなので、だからこそあれこれやり直しを試みるのだけど、次第に自分に不利に回りだす選択肢と決断で、最後は「もうこれ以上やり直しはきかない」状況にまでなって、苦渋の選択をすることになってしまった。体を傷つけたり、人を殺めたり、脅したり、カマ掘られたり、腕吹っ飛ばされたり、最後には。。。

これは過去には戻れない現実、選択のむずかしさ、その他諸々テーマがあるのだろうけど、自己犠牲礼讃とも取れるかも。でも、そこまでしなくちゃ、いけないのだろうか。「生まれて、生きる自分」の価値は、どこにあるのだろう。

何度目かの「やり直し」で、エヴァンは占い師に「生命線がない。生まれてくるはずじゃなかった」と言われ、またそれがキーワードになって次へ展開する。私は思わず自分の生命線を見た。見たって解らないけど、少なくとも私は生まれる予定があって生まれて、途中で死神かっさらいリストには載ったけどそれからは外れて真っ当に生きている。生まれ、生きる私は、過去に戻れる高等生物ではなくて、ひたすらエヴァンの人生の救われなさを思って、寝不足の頭を抱えてやっと布団に入った。
by saporterK | 2006-07-29 23:50