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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

理想の敗北。

起きて、ちょっと考えてから映画を観にでかける。「墨攻」。
公式サイトを観てみた。なんせ墨子の名もその思想集団もとっくの昔に忘れていたし、それ以前に「中国史に出てきたんだっけ?」レベルだった。まして映画の主人公は墨子ではない。てっきりラウが墨子かと思っていたけれど、思想集団の1人。とんびが油揚げを掠め取るように一人勝ちの梁王の、してやったりの笑みを観たとき「また救われん映画を観てしまった」と思ってしまった。たぶんこの映画は非戦がテーマだが、戦乱の世を生き抜くには理想や力だけではダメで、ある意味「(ズル)(小)賢く」清濁併せ持たなくてはいけないことも言っているように思う。ちょっと「勝てば官軍」っぽい印象。大抵こういう映画は、何回か観ないと自分の考えが導き出せない。今回は、とりあえず理想の無力感が一番強く残った。

バカ殿と言ってワン・チーウェンのイメージを壊すが「北京バイオリン」での先生役は好き。その役の印象が強かったので、あまりの狡猾な役に衝撃だった。アン・ソンギは「シルミド」でもこの映画でも、信念の人という役柄でそれ故に命を落とす。品格ある敗北者。この映画は、初めて見たファン・ビンビン以外は皆好きな俳優ばかりだったので、その点は好き。でも、出番はほんのちょっぴりだったけど東伯を演じた白髭のおじいちゃんが一番好き。
by saporterK | 2007-02-07 16:23