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南アルプス市のジャズ喫茶より日々の出来事を。

by ex-saporterK

見えないところの思いやり。

7月のワイン試飲会が終了。当日キャンセルが数名出てしまった。声をかけたいと思ったけど連絡先を聞いていないことに気付き悶絶。以前来店してくれたときはまだ日にちが変わるかもしれずお誘いできなかった。自分の間の悪さを思う。

人数の増減に関わらず、料理というのはかかる手数は殆ど同じ。今日は、トマトの煮いたん、タコとジャガ芋とセロリのガリシア風、茄子と茸と挽き肉の味噌炒め、インゲンのゴマよごし、キュウリの塩昆布漬け、チーズ、サラミ、ナッツ。

出稼ぎで生放送の番組に料理コーナーがあった頃、和食の料理人さんが「見た目が良いだけではいけなくて、食べやすいように隠し包丁を入れたり、見えないところこそ丁寧な仕事をしなくてはいけない」と、勿論お金を戴く以上はそれくらいして当たり前というのも含めて、食べる人のことを思いやる気持ちについて言われた。まだ試飲会も始めていなくて、家族の夕食でも精一杯だった頃の話。

タコの薄切りをしながら、桜煮の時に切るみたいなギザギザ切り(なんていうんだったかな)にして、さらに皮目に隠し包丁を入れた。元から柔らかいタコだったけど、歯が丈夫な私では気にならなくても、誰か噛み切りにくい人がいるかもしれない。祖母が入院していた時の食事を見て、見せかけだけで人を思いやらない食事の何と味気ないことかと思った。病院の方針はともかく、膳を見て泣いたのはあれが初めてだった。

私はタコをあまり食べないが、マスターは好き。今日のお客さん達も好き。ギザギザと隠し包丁の効果か味もよく染みて、食べやすく、且つ「これはヒットだ!」と喜んでもらえた。トマトの煮いたんは、トマトソース以外で温かいトマトを食べる機会が少ないからだろうか、マスターは「不味いわけじゃないけど、ビミョー」。マスターの「ビミョー」は、面と向かって不味いと言えない時の代用語みたいなものなので、がっかり。トマトの赤出汁やおでんや中華炒めに抵抗感を持つ人には無理な話だった。
by saporterK | 2008-07-28 01:20